校長のつぶやき
【校長のつぶやき】藤棚情景2025(2025.5.15)
ゴールデンウィークの頃より、本校自慢の藤棚が美しい花で見事に飾られています。
本校庁務員のお二人が丹精込めて育て、手入れをしてくださったおかげで、今年も見事な藤棚の花を楽しむことができました。この時期にきれいに花を付けるよう、年間を通して気を遣って世話をしてくださっているとのことでした。いつも、校内環境の整備のみならず、季節折々の草木を楽しめるよう配慮いただき本当にありがとうございます。最初の写真は、早朝の青空を背景に撮影しました。
藤棚の下から快晴の空を見上げると、フジの花は輝いていました。
夕方の淡い光の中では、落ち着いた雰囲気の藤棚を楽しむことができました。
薄暮の藤棚、どうぞ御覧ください。
薄暮の白地を背景に、フジの花が映えます。
青空を背景としたフジの花と見比べてみました。
昨年のブログで、フジの花は、クマバチが蜜を吸いやすい花のつくりになっていることを紹介しました。
今年も、藤棚近くでは羽音を立てながらクマバチが飛んでいて、日中はなかなか藤棚の近くで撮影ができませんでした。
撮影中に、藤棚の近くを小鳥が飛んでいると、クマバチが小鳥を追いかけていき、慌てて小鳥が逃げていく様子も目撃しました。
恐る恐る、クマバチを撮影してみました。
そこで、クマバチの活動時間を観察していると、朝方と夕方は藤棚の回りを飛んでいないことが分かったので、今年はこの時間帯の写真を紹介しています。
というわけで、皆さんもフジの花見を楽しみたい時は、朝夕の時間帯を狙って楽しんでくださいね!
来年も、村高の藤棚にすてきな花が咲く事を願っています。
黄昏を過ぎて、月がくっきりと浮かび上がってきたところでシャッターを切りました。
今回もブログを見てくださりありがとうございました。
日も長くなり、これから気温の高い日が増えていく一方で、梅雨に入ると時折涼しくなる日もあることでしょう。(東北地方太平洋岸は、梅雨時にやませの冷涼な風が吹くと本当に肌寒く感じます。)皆さん、くれぐれも体調管理に留意してお過ごしください。
【校長のつぶやき】村田高校桜アルバム2025(2025.4.22)
授業も始まり、学校には明るい生徒の声や笑顔で溢れています。部活動登録を終えて、元気よく活動する新入生も姿も見られます。
村高の広大な校地内では、様々な種類のサクラが美しい花を咲かせました。
今回のブログは、私が一週間ほどかけて校地内で撮ったサクラの花の写真を紹介します。
まずは、1年1組教室ベランダから眺める満開のサクラです。窓側の座席からは心も華やぐ眺めを楽しめます。
2階コモンホール吹き抜け窓からの眺めもとてもきれいです。
2階保健室奥の窓の向こうには、サクラが陽光に照らされて明るく輝いていました。
くるりと廊下反対側を眺めると、番外編・ステンドグラスの柔らかい光を楽しむことが出来ます。
綿雲とサクラ。校地を囲むサクラの木々が満開を迎えました。
雨雲とサクラ。今年は、サクラが見頃を迎えた頃に、雨模様の天気が続きました。幸い、風があまり強くならなかったこともあり、長い期間サクラの花を楽しむことが出来ました。雨雲を背景に、淡い光が差し込んだ夕景のサクラです。
体育館吹き抜け窓から見下ろしたサクラの木。私のお気に入りの場所です。
体育館吹き抜け窓から見上げた桜の木。天然のステンドグラスのように光が柔らかく好き抜けスペースに届いています。
校舎から体育館への連絡通路から、体育館脇のサクラを眺めました。村高校舎には、実習棟をつなぐ渡り廊下が多く、その廊下は斜面を階段で横切っています。どこから眺めても立体的で奥行きのある景色を楽しむことが出来るのが、大きな特長だと思っています。
雨上がりの美しいサクラの光景を写真に収めることが出来ました。
シャッターチャンスは、雨上がりの晴れ間の時間に訪れました。水たまりに美しい空の青色とサクラの花のピンク色が映える写真です。
咲き誇るサクラの花を写す水面が、舞い落ちた花びらを優しく受け止めていました。
サクラの花が春のそよ風に誘われ、雪のように降り落ちる夕方、校門から駐車場に登るスロープを見上げてシャッターを切りました。
スロープを見下ろすと、花を付けたサクラの枝がトンネルを作っているかのような光景であることが、よく分かっていただけると思います。
番外編として、撮影中に校地斜面に姿を現したキジの姿を紹介します。庁務員さんのお話では、本校校地にはつがいのキジが3組ほど生息しているそうです。
(キジが校地内を行き交う姿は、多くの村高生が目撃していることでしょう。)
みるみるうちに、降りしきる雪のように花びらが舞い、雪が降り積もるように地面を淡いピンク色に染め始めました。
村田高校桜アルバム2025は以上です。来春もまた、美しいサクラの花々が村高に、彩りを添えてくれますように。
このブログを見てくださったすべての方に、たくさんの幸せが訪れることを心より願っています。
【校長のつぶやき】入学式・始業式がありました (2025.4.8)
4月8日(火)、本校では午前中に始業式、午後から入学式が行われ、今年度村高生の学校生活がスタートしました。
新入生35名が新たに加わり、総勢、生徒150名、教職員55名で新学期を迎えました。
入学式前日、新入生の教室を回ってみました。新担任の先生が、新入生を迎える最終準備をしていました。
この黒板のメッセージ中央に、生徒の座席が分かるよう、マグネットの生徒表示が準備されていました。
掲示物からは、担任の先生の新入生に対する温かい思いが伝わってきます。「5つの『あ』」の掲示、素敵ですよね。担任の先生オリジナルなのかなぁ!?
こちらも、座席表を表示していました。
机の整えられた教室が、新入生を待っています。
中庭のサザンカらしき美しい花、今年2回目の開花となったようです。
また、体育館入り口奥手の野球場下斜面には、桜の花が咲き始めています。
ちなみに校地を囲むソメイヨシノの桜は、まだほとんど咲いていません。
午後からは、20名の御来賓の御臨席を仰ぎ、入学式が挙行されました。
「入学許可」の呼名では、新入生のしっかりとした返事が壇上まで届きました。
また、村田町長・大沼克巳様、本校同窓会長・髙橋秀夫様より御祝辞を頂戴しました。ありがとうございました。
新入生代表宣誓では、入学までの受験勉強について、努力してきた事がよく伝わりました。また、本校入学後の学校生活についてしっかりと抱負が語られていて、大変気持ちの良い決意表明がなされていました。緊張の中、大変素晴らしい宣誓を聞くことが出来ました。よく頑張りましたね!
私は、式辞を通して「自分に縁があった学校が、自分にとって一番良い学校」であることを新入生に伝えました。
私自身が、かつて「学校群制度の入試」を経験して高校生になったことを紹介することで、「入学するに至った学校(自分に縁のあった学校)での生活を大切にして欲しい」と新入生にエールを送りました。
今年度、役職定年を迎える私にとって、今回が「人生最後の入学式式辞」となります。
以下、入学式式辞を紹介します。
式 辞
優しい風が村田の地を吹き抜け、草木に命の息吹を届ける時節となりました。行く風は、里山に花や若葉の彩りを添えつつ、残雪をまとう蔵王連邦の山並みに向けて、ゆるやかに季節を運び上げています。
本日この春の良き日に、村田町 町長 大沼克巳 様をはじめとする多数の御来賓、保護者・御家族の皆様に御臨席を賜り、令和七年度入学式を挙行できます事に心より御礼申し上げます。
ただいま入学を許可いたしました三十五名の新入生の皆さん、創立百一年目の歩みをはじめた歴史ある本校への入学、おめでとうございます。合格発表の日、皆さんがはじける笑顔で御家族とともに合格を喜んでいる姿が、とても印象に残っています。
本日、晴れて宮城県村田高等学校の生徒になりました皆さんを、在校生・教職員一同 心より歓迎します。またこの日まで御子息・御息女の成長を見守り、支えてこられた保護者の皆様、感慨いかばかりのものでしょうか。心よりお祝い申し上げます。
本校は大正十三年 宮城県村田実科高等女学校として開校し 昭和二十三年に宮城県村田高等学校となり、これまでに一万人以上の卒業生を輩出してきた伝統校です。私は丁度一年前、本校に赴任しましたが、村高生の心の温かさ、他者を思いやり互いに気を配りあえる優しさ、学ぶ姿勢を大切にしている誠実さなどが素晴らしいと常に感じています。私が自分の学校を褒めるのは、手前味噌で少し気恥ずかしいのですが、村高は、生徒が生き生きと学校生活を送り、それぞれの可能性を伸ばすことができる学校です。私は、今年度校長として役職定年を迎えますが、最後の年を本校で迎えられたことに、感謝と大きな誇りを感じています。
新入生の皆さんは、どのような気持ちで本日の入学式を迎えているでしょうか。是非とも村高で学びたいという、強い思いを持ち本校を受験した新入生は、心からの喜びと希望を持っていることでしょう。
その一方で、もしかしたら皆さんにとって他にも入りたい「もっと良い学校」があった人もいるのかもしれません。では皆さん、「良い学校」とは、どのような学校なのでしょうか。勉強の成績が良い、いわゆる「学力偏差値が高い学校」が良い学校でしょうか。地域で認められる「ブランド力のある学校」とか、「近くて通いやすい学校」とか「学びたい学科や活動したい部活動がある学校」とか、「兄弟が通っていた学校」が良い学校だと思う人もいるかもしれません。ここにいる、三十五名の皆さん一人一人の「良い学校」のイメージがあって構わないと思います。どれが正しくて、どれが間違っている、ということはありません。
では、新入生の皆さん、私の考えを聞いてください。
私は「自分に縁があった学校が、自分にとって一番良い学校」だと考えています。
今から四十四年前、私は愛知県で入試を受けて高校生になりました。当時、愛知県の一部の高校には学校群制度という入試制度がありました。この入試は、二つの学校、A高校とB高校がグループになり、入試で両校入学者をあわせて選抜し、その合格者を、学校側がA高校合格者とB高校合格者とに振り分けていく、というものです。入試では「私の第一志望はA高校です」とか、「私はB高校に入りたいです」という本人の希望は一切聞かれません。学校の気風も異なります。例えば、私の通ったA高校のラグビー部は県内の強豪校でしたが、B高校にはラグビー部はありませんでした。生徒は、合格できた学校にある部活動を選ぶことしかできません。私の家からはB高校の方が近かったのですが、A高校に振り分けられたため、私は、毎日自転車でB高校の脇を通ってA高校まで通いました。
私の受験した年は、受験会場、合格発表会場がともにA高校でした。合格発表の掲示板は通路を挟んで両側に、壁のように設置されていました。千名ほどの受験生は、まずは、自分の行きたい学校の合格掲示板で自分の受験番号を探します。
見つからないと次は、振り返って背中側の掲示板から、自分の受験番号を探すのです。合格発表会場は、希望する学校に合格して大喜びする受験生、複雑な表情で合格を喜ぶ受験生、不合格を知りがっかりする受験生と、実に様々な表情に満ちたものでした。
A高校の生徒となった私は、かけがえのない出会いや経験に恵まれ、それらは大きな財産となりました。高校時代に、部活動を指導してくださった恩師の先生とは、今でも年に一度は御自宅に訪問させていただくなど、交流が続いています。
私は中学生の頃、A高校とB高校の、どちらが自分にとって良い学校なのか、ということはあまり考えていませんでした。こうした高校受験の経験があったからこそ、私は「自分に縁があった学校が、自分にとって一番良い学校」だと自然に考えられるのだと思います。
因みに、六歳下の私の弟は、私の後を追いかけたくて同じ学校群を受験しましたが、B高校での合格となりました。私は弟の合格発表に付き添いましたが、私と同じA高校に入りたかったにもかかわらず、B高校合格と分かったとき、本当に残念そうな表情をしていました。ですが、今考えると、弟にはB高校に良い縁があったのだと思います。
新入生の皆さん、皆さんにとっては、村田高校が一番縁のある学校だったのです。本校で、精一杯、自分らしく学び、友達を作り、かけがえのない学校生活を過ごしてください。
また、皆さんの活躍が、村田高校百一年目の新たな伝統を築いていくことにつながります。将来、皆さんの母校となる村田高校を「良い学校」にできるのは、学校の主役である生徒の皆さん一人一人の気持ちであることを、しっかりと胸に刻んで欲しいと思います。
保護者の皆様、改めまして本日は誠におめでとうございます。大切なお子様の成長を促すべく、学校は教職員一同、保護者の皆様との連絡・協力体制のもとで、教育活動に臨んで参ります。御家庭と学校がそれぞれの役割を認識し、共に足並みをそろえて協力・連携していくことで、大きな教育的効果が得られるものと考えますので、どうぞ本校の教育活動に対する、御理解・御協力のほど、よろしくお願いいたします。
本日 ご多用の中 ご臨席を賜りましたご来賓の皆様 誠にありがとうございました。今後とも入学生をはじめ村田高校に対するお力添えのほどよろしくお願い申し上げます。
結びに、高校生活の新しいスタートを切る入学生の皆さんと、この学び舎で学校生活を共にし、感動を分かちあっていけることを楽しみにして、新入生歓迎の式辞といたします。
令和七年四月八日
宮城県村田高等学校 校長 安斎 善和
式典を終えた体育館会場の様子です。(式典中は、写真撮影をすることが出来ないので終了後の写真で入学式の雰囲気を想像してください。)
ステージ壇上からの眺めは、このようになります。
最後に、ソメイヨシノはまだまだ見頃とはなっていませんでしたので、プール奥の「村高看板」の足下を彩る、かわいいスイセンの花を紹介します。
新年度がスタートしました。生徒、卒業生はもちろんのこと、このブログを読んでくださった全ての皆さんが元気に過ごせるよう心より願っています。
「卒業証書授与式」を終えて (2025.3.4)
3月1日(土)は、本格的な春の到来を思わせる穏やかな晴天に恵まれました。この晴れの日に、24名の御来賓の御臨席を仰ぎ、第59回卒業証書授与式が挙行されました。
卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
卒業生呼名の全員の返事が、壇上にいた私にしっかりと届きました。卒業生の皆さん全員の、卒業式に対する真摯な気持ちが伝わってきて感激しました。
卒業式では、村田町長・大沼克巳様、PTA会長・近江正彦様より御祝辞を頂戴しました。ありがとうございました。
また、現生徒会長の送辞は、心のこもった優しく温かいメッセージで、感謝の気持ちが卒業生の心にしっかりと伝わったことと思います。素晴らしい送辞でした。
詩人・斎藤茂吉が蔵王を詠んだ詩の一節を用いるなど格調の高かった答辞。最後は感極まって流れる涙で言葉が詰まりましたが、充実した高校生活が思い窺える最高のメッセージでした。
校歌斉唱時には、今回初めて使用された音源が用いられました。1年次有志が収録に協力してくれたおかげで作ることができた新たな音源の元気な歌声に合わせて、卒業生、教職員も大きな声で校歌を歌いました。
私の式辞は、昨年11月1日に挙行された、本校創立100周年記念式典の式辞からの続編のように仕立てました。詩人・童話作家 宮沢賢治の作品「銀河鉄道の夜」をモチーフとして、100年前の村田町に軽便鉄道が走っていたことに思いを寄せながら、私の恩師、地理学者・米地文夫先生への感謝の意も込めて作りました。
卒業生の皆さんが、これからの人生で「本当のさいわい」を探しながら心豊かに過ごしていくことを願っています。以下、式辞を紹介します。
式 辞
雪の衣をまとう蔵王の峰は麗しく、それでも日差しは和らいで、春の本格的な訪れを間近に感じます。
本日、村田町長 大沼克巳 様、本校PTA会長 近江正彦 様 本校同窓会会長 高橋秀夫 様をはじめ、多くの御来賓、保護者、御家族の皆様の御臨席のもと、令和六年度卒業式を挙行できますことは誠に大きな喜びであり、心より御礼申し上げます。
ただいま 卒業証書を授与されました四十五名の卒業生のみなさん 卒業おめでとうございます。在校生・教職員一同 心よりお祝い申し上げます。
また、この日までご子息・ご息女を手塩に掛けて育ててこられた保護者・御家族の皆様、今日の節目の日を迎え、希望溢れる卒業生の姿に喜びもひとしおのことと拝察いたします。
本日の卒業式は、前身となる宮城県村田 実科高等女学校設置から百年を迎え、創立以来の卒業生の数が一万人の大台を超える、本校にとって記念すべき式典となりました。この晴れやかな舞台を、卒業生、御臨席の皆様と共にできることを大変光栄に思います。
さて、人生百年時代を生きていく卒業生の皆さんの門出にあたり、私が一番に願っている事は卒業生一人一人が「心健やかに幸せな人生を歩んで欲しい」ということです。皆さんの存在は、それぞれに等しくかけがえがなく、尊いものです。
そして、言うまでもなく、例えば就職に際して、従事する仕事の種類や地位・肩書き、収入額などが決してその人の価値や、幸せの度合いを定めることにはならないでしょう。
それでは、「幸せな生き方」とは、一体どのようなものでしょうか。
岩手県花巻市出身の詩人・童話作家 宮沢賢治の作品「銀河鉄道の夜」は、物語全体に楽しい場面や悲しい出来事がちりばめられた、不思議で謎めいたお話です。主人公の少年ジョバンニは、友人カムパネルラと銀河鉄道に乗り星空の幻想空間を旅します。そして、この二人が、列車を乗り降りする乗客の生き様を通して「本当のさいわい」に思いを巡らせていきます。
列車に乗る二人は、近くの座席に座る、捕まえた鳥を売る商売人や、家庭教師と二人の姉弟など、様々な登場人物との会話を通して、それぞれの乗客が様々な人生を歩んできたことを知ります。家庭教師の青年と二人の姉弟は、氷山にぶつかり沈んでしまった船に乗っていました。海に漂う三人は、救命ボートに乗れず、ほどなく銀河鉄道に乗車してきたのです。列車の乗客は、「正しい道を進んでいれば、どんなにつらいことであっても、本当の幸福に近づけている」と彼らを慰めます。
列車の窓からサソリ座の星が赤く燃える様子を見ると、姉弟の姉は「沢山の命を奪ってきたサソリが、自分が死ぬとき『本当のみんなの幸せのために自分
の体を使ってください』と神様にお願いした」一節を語ります。やがて、彼らは神様のところへ行くため南十字星の駅で列車を降りていきます。
旅を続けているうちに乗客はジョバンニとカンパネルラだけになってしまいます。ジョバンニは、カンパネルラに「僕はもう、あのサソリのように本当にみんなのさいわいのためならば、僕の体なんか百ぺん焼いても構わない」と話します。「僕たち、どこまでも一緒に行こう」と言ってカンパネルラのほうを見ると、その姿は、もう座席にありませんでした。
泣き叫ぶジョバンニは、カンパネルラが川に落ちた友人を助けた後、そのまま行方が分からなくなっていたことを知るのです。
私の大学時代の恩師、地理学者・米地文夫の著書「『銀河鉄道の夜』解体新書」によれば、この作品が楽しさと悲しさ、そして不思議さとを併せ持つのは、完成前に賢治がこの世を去り、断片的な原稿が、無理矢理つなぎ合わせられたからだと論じています。
さらに、賢治の創作活動に大きな影響を与えたのが、当時の花巻市を走っていた二つの鉄道路線だとして、作品を貫く、悲しい旅の場面は東北本線夜行列車の大きな蒸気機関車、そして垣間見える楽しい旅の場面は、岩手軽便鉄道の小さな蒸気機関車が牽引する客車に着想を得たものだと区分しました。
賢治がこの物語の原稿を書き始めたのが、今から百年前。この頃、村田の地にも仙南温泉軌道の小さな蒸気機関車が客車を牽いて走っていました。
賢治が、ふるさとを走る夜汽車に着想を得て童話「銀河鉄道の夜」を生み出し始めた頃と時を同じくして、本校は軽便鉄道の汽車が走っていた村田町で産声を上げました。それから百年の節目に皆さんはここを旅立ち、それぞれの道のりを歩み始めます。
鉄道の旅になぞらえれば、皆さんはここ村田高校駅で、かけがえのない経験をしっかりと胸に刻みました。各系列で取り組んだ日々の授業、実習。人生初
の飛行機搭乗となった人も多い修学旅行。大阪の自主研修では迷子の友達を探しに行ったことで、新たな迷子が発生しました。学年が団結した学校行事、部活動の大会、作品展、学校の垣根を越えた連合チームの仲間との思い出、全国大会での輝かしい成果。
百年に及ぶ時代を生きていく卒業生の皆さんは、今から百年前の人が、スマートフォンを持ちGPS機能を使いこなす私たちの生活を考えつかなかったように、これから、想像を遙かに超える文明の発展を目の当たりにしていくことでしょう。しかし、「便利で豊かな暮らし」が、必ずしも「本当のさいわい」をもたらしてくれるとは限りません。
賢治がそうであったように、皆さんもこれから出会い、見聞きする様々な経験を通して「本当のさいわい」について考え続け、それを大切にしながら、日々を誠実に過ごして欲しいと思います。
人生の旅を続ける皆さんが進む線路の、遙か先に広がる終着点の光景が、皆さん一人一人にとって美しく何よりも愛おしいものであることを願っています。
保護者の皆様には、三年間にわたり、本校の教育活動推進のために温かい御支援と多大なるお心遣いを頂戴したこと、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
また、本日ご多用の中、御臨席賜りました御来賓の皆様の、常日頃からの御厚誼に心より感謝申し上げ、結びに、本日御参加の皆様、そして卒業生の前途に幸多からん事を、心より 祈念して式辞といたします。
令和七年三月一日
宮城県村田高等学校 校長 安斎 善和
式典を終えた体育館会場の様子です。
壇上にあった、美しい花の生けられた花瓶は、事務室前廊下に移動しました。
卒業生が去った教室の様子を紹介します。
3年1組の黒板アートです。
3年1組のカウントダウンカレンダー、日めくりの最後の1枚です。
3年2組の黒板アートです。前の黒板と後ろの黒板に描かれていました。
3年3組の黒板アート
3年3組は体育祭総合優勝でしたね。賞状、トロフィーが残されていました。
校地内でふきのとうが顔を出し始めていました。・・・もうすぐ春ですね。
春の日差しの渡り廊下。 卒業生の皆さんが、いつまでも元気で幸せに過ごせますように。
【校長のつぶやき】「令和7年スタートしました」 (2025.1.21)
皆さん、本年もブログ「校長のつぶやき」をどうぞよろしくお願いいたします。
さて、いよいよ今年度も締めくくりの時期になってきました。冬休み明けの全校集会の挨拶の抜粋を紹介します。
村高生の皆さん、改めて、今年も高校時代を大切にして過ごしましょう!
【冬休み明け集会挨拶より】
(途中略)
さて、いよいよ年も明け、3年次の皆さんは卒業式まであと二ヶ月を切りました。早く卒業したい、という人もいるかもしれませんが、時間は巻き戻すことができません。
年の初めの挨拶にあたり、1、2年次の皆さんも含めて、人生の中で高校時代という期間がかけがえのないものであることを改めて感じて欲しいと思います。
今から14年前の12月、毎日新聞の朝刊で、当時高校3年生だった女子生徒の投稿が紹介されていました。彼女は、「今を大切に、後悔しない人生を」というタイトルで、高校生活をこう見つめ、言葉にしていました。
『高校に入学して、たくさんの経験をした。楽しいこと、苦しいことなど数え切れないほどの思い出ができた。その高校生活も残り少ない。あとは卒業するだけだが、軽い気持ちで毎日を過ごしたくない。今着ている制服、教科書、そして友達との別れの時が少しずつ近づいているのだ。何気ない一日一日が心に残っている。高校生活は取り戻したくても、取り戻せないものである。』
そして、国語の先生が授業中に話してくれた言葉を紹介して、次のようにまとめていました。
『「18歳は10億円出しても再現することはできない」。確かにどれだけ多くのお金があっても、過去に戻ることは不可能である。だから私は今を大切にし、後悔しない人生を送ろうと思っている。高校生活は今しかできない。残りの3ヶ月を充実させ、大切に過ごしていくつもりだ。』
当時熊本県の高校生だった彼女は、何事もなければ、現在32歳になっています。私は、もしチャンスがあれば、現在の彼女に、「あなたの高校生活はどれほど輝かしいものでしたか。」と聞いてみたいです。
この投書は、高校生自身が高校時代を見つめて、大切にしている事を発信しているものだったので、皆さんに紹介させてもらいました。
私も勿論ですが、本校の先生方も、それぞれがかけがえのない高校時代を過ごし、そこで得られたことを大切にしてきたからこそ、高校での教員・職員という仕事に就いているのだと思います。
もうすぐ開校101年目を迎える村高で、「かけがえのない高校時代を大切に」という思いを掲げ、今年も生徒の皆さんと教職員が、心を通わせながら学校生活を送れるよう、精一杯努めていきたいと思います。
今年一年、村高生の皆さんが、学校生活を通して数々の体験を重ね、そうした出来事に支えられたり、時には苦しみながらも、多くを学び、成長していけるよう心から願い、年始の挨拶と致します。
3年次の教室には、卒業までの登校日「カウントダウン 日めくりカレンダー」が設置されています。
私は、毎朝全クラスを訪れて生徒の皆さんと挨拶を交わしていますが、3年次の皆さんの登校日が少なくなっていくことをこのカレンダーを見て実感しています。残り少ない登校日を、充実させてくださいね!
また、17日には、校長室で生徒会執行部の生徒の皆さんに委嘱状を渡しました。村高101年目に向けて、力を合わせて素敵な学校を作っていきましょう!
【おまけ】
本校吹き抜け階段スペースにあるステンドグラスを紹介します。
夕刻のステンドグラスが美しい表情を見せてくれました。
村高の校舎は、楽しみどころが沢山ありますよ!
【校長のつぶやき】「内田明子先生の講演会&クリスマスツリー登場」 (2024.12.11)
12月11日の午後、本校では「高等学校生徒支援体制充実事業『特別活動』外部講師による講演会」が実施され、全校生徒が内田明子先生の講演会に参加しました。
内田先生は合同会社エンカウンターの代表を勤められている方で、この講演会のためにわざわざ大阪より本校へ足を運んでくださりました。元日本航空客室乗務員としてご勤務なさっていた頃の経験を踏まえ「可愛がられる力~あなたはすでに持っている~」と題して、心のこもったお話をしてくださりました。
講演にあたり、村高生に「うなずき」と「返事」をリクエストして、この「聴く姿勢」の大切なことを教えてくださりました。
また、「学びの5つのステップ」として、「知る」「感じる」「考える」「書き出す」「行動する」があることに触れた後、わかりやすい例えを用いながら、以下の3つのことについてお話ししてくださりました。
1「印象力は仕事力」
6秒くらいで相手への印象が決まる。第一印象はとても大切です。
「会釈」、「敬礼」、「最敬礼」をTPOに応じて実行して、心の通ったコミュニケーションを実践してください。
2「言葉の力を味方に付ける」
「どうせ無理」ではなく「どうやったら上手くいく」と前向きに考えることが重要です。後ろ向きな思考に陥ったときには、「あっ、こんなことを考えてしまった」、「この考え、キャンセル、キャンセル」、「そう考えられた自分
って凄い」というように、前向きな気持ちで思考の最後を締めくくると、心理学的にも良い効果が期待できます。
3「挨拶で人生は変わる」
一番大切なことは、自分から挨拶をする習慣を付けることです。是非、毎日実践してみましょう。
以上は、私のメモを元にまとめたのですので、内容を十分に伝え切れていないかと思いますが、内田先生のメッセージを是非これからも大切にしてください。
内田明子先生と記念撮影(講演終了後、校長室にて)
内田先生、お忙しい折本校で素敵なお話をしてくださり、本当にありがとうございました。
そして、翌12日には、本校コモンホールに大きなクリスマスツリーが設置されました。
こうして、2階通路を背景に入れると大きさがよく分かりますね。飾り付けられたオーナメントも立派で可愛らしいです。
電飾で輝く夕刻のクリスマスツリー。生徒も写真を撮影するなどして、思い思いにクリスマスツリーのある学び舎を楽しんでいます。
2階通路からみたツリー。窓にも光が反射して見えます。校舎の外にもツリーがあるような眺めが楽しめます。
素敵なクリスマスツリーを設置してくれた生徒会の皆さん、先生方、庁務の皆様、ありがとうございました。
皆さん良いクリスマスを、そして良いお年をお迎えください。
【校長のつぶやき】「小春日和の学校風景」 (2024.11.14)
暑くて長い夏が過ぎ、季節は確実に冬に向かっています。地球温暖化の影響も手伝ってのことか近年はあたたかい日が多い傾向があるようですが、それでも朝晩の冷え込みから、季節の移り変わりを感じます。
秋晴れの快晴の空に、飛行機雲が映えていました。秋空は、とても澄んでいて高く見えます。
駐車場にも落ち葉が舞い、木々も秋の装いとなりました。
銀杏の葉と、青空の色のコントラストが美しいですね。
駐車場脇には、柿の実がひとつ、少しばかりの葉っぱと共に枝に残っていました。鳥に食べられないという事は、澁柿なのかな?
柿の木のとなりには、サザンカの木が沢山の花を付けていました。
優しいピンク色のサザンカの花、とてもきれいです。「さざんか」には寒さに強い常緑樹という印象がありますが、元来野生種の生育北限域は西南日本の山林で、日本各地に植栽されるようになるまでには幾度もの品種改良が重ねられたそうです。花言葉は「ひたむきさ・困難に打ち勝つ」です。
松の葉が、ふわふわのカーペットのように縦に横にと折り重なっています。松ぼっくりも沢山落ちていました。そうこうして、校地内を散策していると、野球場の方から生徒の歓声が聞こえてきました。野球場への坂道を上り、授業の様子を見せてもらうことにしました。
3年次の生徒が、ソフトボールの授業に楽しそうに参加していました。
チーム形式で楽しんでいましたが、両チームのキャッチャーを兼任していたのは、野球部監督でもある体育科の先生でした。まさに、授業の要として、一人一人にアドバイスをしながら活動を盛り上げていました。
きれいに整備されたグラウンドでは、男女混成の両チームが、楽しくプレーを続けていました。
10月の研究授業では、体育館でプラスチックのバットを使い導入の活動をしていましたが、その甲斐もあり初心者の女子生徒も、バッティングを楽しんでいました。
野球部を引退した生徒も、運動がそれほど得意ではなさそうな生徒も、皆で元気に声を掛け合い、励まし合いながら授業に参加していたのが大変印象的でした。互いを思いやる村高生、素晴らしいです。
野球場の坂道からの校舎風景です。秋空に映える村高の学び舎は味わいがありますね!
校地下の空き地には、ススキの穂が金色にたなびいていました。本校周辺、小春日和の秋の風景でした。
【校長のつぶやき】「本校創立100周年記念式典」 (2024.11.1)
11月1日(金)に、大河原町のえずこホールを会場に「村田高校創立100周年記念式典」が開催されました。今年度本校最大のイベントです!
会場に入場する前の本校生。当日は寒くもなく、天気も良くて安心しました。
ステージの準備は整い、あとは生徒、御来賓の皆様の入場を待つばかりです。
いよいよ式典が始まりました。生徒の皆さんは、大切な行事であるという自覚をもち、真摯に式典に参加してくれました。来賓の皆様からもお褒めの言葉をいただきました。
式典開催にあたり、公私ともにご多用のところ、宮城県議会議長 髙橋伸二 様、宮城県議会議員 枡和也 様、宮城県教育委員会教育長 佐藤靖彦 様、村田町長 大沼克巳 様、村田町議会議長 遠藤実 様、宮城県高等学校長協会副会長 樽野幸義 様、宮城県特別支援学校長会会長 遠藤浩一 様、大河原教育事務所長 鎌田雅博 様、さらに、村田町議会議員の皆様、村田、川崎、蔵王 各町教育委員会教育長の皆様、地元 近隣 官公庁・事業所等代表の皆様、本校歴代校長の皆様、並びに県内高等学校・特別支援学校、地域・中学校校長の皆様、そして、本校学校評議員、旧職員、同窓会・PTA代表の方々をはじめ、多くの御来賓の皆様の御臨席を賜りました。心より御礼申し上げます。
私の式辞では、19枚の画像を用いて、開校から現在までの本校・地域の様子や社会背景を紹介しました。
旧校舎の紹介画像です。式辞は、人生100年時代を生きる生徒の皆さんが、時間の積み重ねに思いを巡らせる好機にしてもらいたいという思いを込めて作りました。人生を積み重ねていくことの尊さについて、本校の歴史に思いを寄せつつ少しでも考えてもらえたなら幸いです。
式辞の後に、御来賓代表の皆様及び式典実行委員代表者が登壇して式典が進められました。御来賓を代表して、宮城県教育委員会教育長 佐藤靖彦様、村田町長 大沼克巳様より御祝辞を頂戴しました。公私御多用の折り、御臨席いただいた御来賓の皆様、大変ありがとうございました。
本校90周年以降に在任された歴代校長先生に、髙橋 秀夫 実行委員長より感謝状が贈呈されました。10年前の90周年記念式典の際の校長を務められていた、大沼 博之 様に代表して受領していただきました。
続いて、本校元振興会会長 渡邊 千治 様に感謝状が贈呈されました。渡邊様も本校同窓生です。
歴代PTA会長を代表して、佐藤 喜晴 様に感謝状が贈呈されました。
本校同窓会長でもある髙橋 秀夫 実行委員長には、私から感謝状を贈らせていただきました。
生徒代表謝辞は、前生徒会長の佐藤 逸喜 君が母校への思いに溢れる堂々としたスピーチを披露しました。(式典の様子は、11月13日河北新報朝刊にも掲載されました。逸喜君の晴れ姿が、カラー画像で紹介されています。)
芸術鑑賞会の部では、阿部金三郎、銀三郎兄弟を中心とする津軽三味線民芸ユニット「あべや」の演奏を楽しみました。楽しいトークを交えながら、心を揺さぶる演奏を披露してくだりました。
生徒の皆さんも、ソーラン節の踊りで演奏を盛り上げるなど、大活躍でした。
舞台に上がった皆さんは、さぞや緊張したことでしょうね。でも、一人一人の持ち味が発揮されていて、全員がとても良い表情をしていましたよ。
本校の記念すべき式典に花を添えてくださった「あべや」の皆様、心のこもった最高の演奏を披露していただき、本当にありがとうございました。
【校長のつぶやき】「秋の交通安全県民総ぐるみ運動柴田郡4町合同出発式」と「バイク通学許可証交付式」 (2024.9.17)
9月17日(火)に、本校校門前スペースを会場として「秋の交通安全県民総ぐるみ運動柴田郡4町合同出発式」が開催されました。
出発式には、本校吹奏楽部と生徒会が参加して、交通安全運動を盛り上げました。吹奏楽部6名と教職員3名が力を合わせて素敵な演奏を披露しました。
4町の町長を代表して村田町長様より、続いて大河原警察署長様よりそれぞれ御挨拶がありました。続いて、本校生徒会長から「交通安全の誓い」が述べられました。交通安全活動へのしっかりとした思いが参加者に伝わりました。
警察署員、地域の交通安全推進活動に協力している地域の方と共に、本校生徒会の皆さんも出発式に参加しました。
みやぎ川崎慶長遣欧使節団・支倉常長様の勝ち鬨(かちどき)号令の様子です。
パトカーが、号令を合図に、地域の交通安全巡回に向けて出発していきました。
村高生の皆さん、これから日も短くなってきます。くれぐれも、交通事故に遭わないよう気を付けてください。地域での交通事故が少しでも防げるよう、皆で交通ルールを守りましょう!
マスコットキャラクター、支倉常長様とともに記念写真。参加、協力してくれた村高生の皆さん、お疲れ様でした。
吹奏楽部の皆さん、先生方、出発式冒頭の演奏も、勝ち鬨のファンファーレもとても気持ちがこもっていて、一生懸命さが伝わる音を届けてくれてありがとうございました。良い思い出が出来ましたね。村田町マスコットキャラクターくらりんと、私も混ぜていただき記念撮影!ありがとうございました。
今回は交通安全特集として本校バイク通学許可証交付式の様子も紹介します。
今年度二回目の交付式は8月28日(水)に、保護者の方にも同席いただき実施されました。登下校時にバイクを利用する生徒の皆さんは、くれぐれも安全運転を心がけてくださいね。
代表生徒に許可証を手渡しました。私は、お札かお守りを配るような心境でした。皆さん、路面状況をよく見て、無理のない運転をしてください。
【校長のつぶやき】「学ぶ姿勢」を身に付けよう(2024.8.26)
8月23日(金)に夏季休業明けの賞状伝達、全校集会が実施されました。この集会で、村高生の皆さんに伝えた内容を掲載しました。当日、体調不良等で欠席した生徒の皆さんは、是非目を通してくださいね。
令和6年度 夏季休業明け全校集会 挨拶
令和6年8月23日(金)
今年の夏も昨年に続き、日本中が記録的な暑さを観測しています。感染症も引き続き拡大しているようですが、皆さんは、夏季休業期間を元気に過ごせたでしょうか。それぞれの生徒の皆さんが、長期の休みならではの経験が出来た事と思います。
昨日の夜、「もう少し夏休みが続いて欲しい」と、思った人も多かったのではないでしょうか。ある程度、自分のペースで過ごせる時間が終わってしまうので、誰もがそう思ったのではないかと思います。私を含め、多くの先生方も同じ気持ちだったのではないでしょうか。
学校生活のリズムに体や心が慣れるまでに、少し時間がかかると思います。暑さも続きますので、一人一人が、自分のコンディションをしっかり見定め、自分の間合いで少しずつ心や体の調整をしていきましょう。苦しいときには、先生方に相談に乗ってもらいながら心や体の体調を整えてください。
夏休みの期間も、部活動や補習、講習等で登校した人もいました。また、3年次の皆さんは進路に向けての登校や受験対策で、慌ただしく過ごした人も多かったと思います。
アルバイトや家事の手伝い等を通して、社会勉強をした人も沢山いるのではないでしょうか。
今、私は「社会勉強」という言葉を使いましたが、今日は「社会での学び」についてお話しします。
さて、皆さんは自分の人生は何年あると考えるでしょうか。不慮の事故や、思いがけない病気になることも考えられますが、村高生の皆さんには、元気に・前向きに、末長い人生を歩んで欲しいと心から願っています。
アメリカ、カリフォルニア大学バークレー校の研究機関によれば、日本は世界一の健康長寿国で、2007年に生まれた日本の子供が、107歳まで生きる確率が50%と予測されています。
つまり皆さんは、まさに人生100年時代を生きる世代なのです。
また、社会が変化するスピードは年々加速化が進んでおり、新しいことを学び続けなくては社会生活に対応することが難しくなる時代でもあります。
社会の変化に対応する事の重要性について、学習院大学の滝沢美帆教授は、次のような事を唱えています。
「機械など、有形資産の陳腐化が進むスピードは年10%ほどだが、人的資本の価値は年40%のペースで失われる」そうです。
平たく言えば、高性能の最新式のパソコンでも、年10%の割合で商品価値が下がってしまいますが、一方で、パソコンを使う私たち人間が、新しいICT機器の活用方法を学ばなければ、毎年40%の割合で職業人としての価値が下がってしまうという訳です。
人工知能(AI)の発展から、地球温暖化が一因と考えられる気象現象による猛暑、豪雨といった自然災害の増加にいたるまで、私たちの身近には、常に変化が隣り合わせであると感じます。
今日から学校での授業が再開されます。学習内容はもちろんのことですが、村高生の皆さんには、勉強の得意、不得意にかかわらず、様々なことを「学ぶ姿勢」を高校時代にしっかりと身に付けて社会に巣立って欲しいと心から願っています。
皆さんが今、学習に取り組むことは、卒業後に皆さんが人生100年時代をどのように生きていけるかという形で、成果になると思います。苦手教科、自信のない科目などがあっても全く構いません。毎日の学校生活をとおして、皆さん一人一人が、自分なりの「学ぶ姿勢」を見つけていきましょう。
村高生が実力テストを受けている時間帯に、青空に映える校舎を撮影しました。皆さん、お疲れ様でした。まずは、学校の生活リズムに直していきましょう!
【校長のつぶやき】体育祭最高!(2024.7.12)
6月27日(木)、28日(金)に、体育祭が開催されました。村高生、教職員全員の活躍により、とてもアットホームで楽しい体育祭となりました。
開会式では、寸劇風の選手宣誓が披露されました。私も打合せ通りに楽しく「演技」できました!
間隔をしっかりと取り、準備運動を入念に行いました。みんな、しっかり足を伸ばしています!
女子バレーボールの様子です。準決勝までの試合は、体育館にコートを2面設営して実施されました。ステージ側が男子、ステージ奥では女子の試合が行われました。2階ギャラリーの窓には新緑の青葉が映えています。ナイスサーブ!
バレーボール、バスケットボールともに、決勝とエキシビションマッチ(優勝チームと教職員チームの試合)は体育館センターコートを設営し直して実施しました。みんなで楽しく応援することが出来ました。
男子3年2組対先生方のエキシビションマッチは手に汗握る展開となりました。
バスケットボールの熱戦、攻守ともに素晴らしい跳躍力ですね。さあ、シュートは決まったのでしょうか!?
うわーっ、引っ張られてしまったー、とばかりに崩れ落ちる選手の皆さん。綱引きも、真剣勝負でしたね。
綱引きの試合前に円陣を組む3年次生徒たちです。みんな、仲間との絆を深め、村高生同士の団結力を高めることが出来ましたね。
男子綱引きのエキシビションマッチ、円陣を組んで気合いを入れる先生方。生徒と共に体を動かし、怪我もなく、チームワークがさらに良くなりました!
各クラスの黒板にも、体育祭を盛り上げるイラストが描かれていました。
表彰式では、2日間4競技の総合で上位入賞のクラスに賞状やトロフィーが授与されました。入賞チームの皆さんおめでとうございます!
大会運営に力を尽くしてくれた体育委員、生徒会、バスケットボール部、バレーボール部、野球部、それ以外にも適宜サポートに入ってくれた人を含め、全ての村高生の皆さん、担当者をはじめとする生徒指導部の先生・保健厚生部の先生方、運動部顧問など全ての先生方、ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。保護者の皆様もユニフォームの洗濯等、御協力ありがとうございました。
ハッスルプレー満載で、思いやりに溢れた村高の体育祭、最高です!
【校長のつぶやき】ナデシコとホタルブクロ(2024.6.17)
村高生の皆さん、この花の名前を知っていますか。私は今まで、この花をあまり見た記憶がありませんでした。丹精込めて庭の管理をしてくださっている庁務員さんに尋ねたところ、この花が、あの有名な「撫子(なでしこ)」なのだそうです。インターネットで調べたところ、なでしこにも様々な種類があるようです。日本では古来より女性の美しさを称える「大和撫子」という言葉がありますが、この花が由来する表現だということです。サッカー女子日本代表の愛称が「なでしこジャパン」であることも有名ですよね。
庁務員さんは、この花が毎年咲くように願って中庭の手入れをしているとのことでした。校地内できれいな花を観賞できるよう庭の管理をしてくださって本当にありがとうございます!
植物が大好きな理科の先生によれば、これはムシトリナデシコ(虫取りなでしこ)と呼ばれる種類なのだそうです。茎の部分に触れると、ネバネバしているので虫が捕らえられることもあるようですが、食虫植物ではないそうです。
藤棚に続くスロープの両側に咲き誇るムシトリナデシコです。
上から見ると、このような感じでお花を楽しむことができました。
〔校地縁辺でひっそりと花を付けるホタルブクロ〕
広い校地内には、様々な野草が観察できます。今、校地縁辺斜面には、ホタルブクロが可憐な花を咲かせています。斜面下方より撮影しました。左上には校舎が写っています。
【校長のつぶやき】交通安全優良学校表彰を受けました(2024.6.7)
5月29日に大河原警察署で柴田地区交通安全協会通常総会が開催されました。同協会村田支部より本校の交通安全啓発活動を評価いただいたことから、総会の席上で本校が交通安全優良学校の表彰を受けました。
また、今回の表彰式では村田支部・交通安全功労者として、本校同窓会長である髙橋秀夫様にも感謝状が授与されました。本校及び関係者が地域の交通安全啓発に力を尽くしていることを、大変誇らしく感じました。髙橋様の地域貢献にも、心より敬意を表します。
交通事故を防ぐため、互いを思いやり交通マナーを守って過ごしていくことはとても大切なことだと思います。生徒の皆さんも通学時はもちろんのこと、休日や卒業後の生活も含めて、くれぐれも交通安全に留意していきましょう。
(バイク通学、自転車通学の皆さんは、常に安全運転を心がけてください。)
今回の校長のつぶやきは「交通安全」に関する内容ですので、5月15日に本校校門前で実施された「交通安全マナーアップキャンペーン」についても紹介したいと思います。
爽やかな五月晴れの朝、大河原警察署交通課の皆さんと本校生徒がチームを組んで、交通安全啓蒙活動を行いました。
署員の皆様、本校生徒会メンバーとともに集合写真を撮ってもらいました。
登校する本校生徒にリーフレットを配り、交通安全を呼びかけました。
皆さん、くれぐれも交通安全に気を配り、毎日元気に登校してくださいね!
【校長のつぶやき】華道部生徒の作品(2024.5.21)
今月中旬に「学校公開週間」が設定され、学校の様子を校外の方に参観頂きました。これに時期を同じくして、華道部の生徒たちが活けた花々の作品が校内各所で披露され、校内に美しい彩りを添えてくれました。
生徒昇降口前、正面には紅白の美しい色使いの2つの作品が並んでいました。
美しく大胆な色の配置、奥行きを計算した立体的な構図、素晴らしいです!
淡い色調でありながらも華やかで上品な作品、緑色を基調としながらも艶やかな紅色が映える美しい作品、いずれも、選んだ花器も含めてセンスを感じる素敵な生け花でした。華道部の皆さん、ありがとうございました。
家庭クラブの皆さんも、2年次教室に花を生け、彩りを添えてくれました!
きれいなお花が至る所に飾られ、心癒やされる村高の校内環境、最高ですね!
【校長のつぶやき】レッドロビンの生け垣とコデマリ草(2024.5.17)
青葉萌ゆる新緑の時節となりました。本校から眺める里山の景観では、草木の若葉の色合いが楽しめますが、校長室の窓から見える植栽で、ひときわ目に付くのは、生け垣の赤い葉です。
4月下旬にはこの写真のように、新芽から赤い葉が育ち、伸びていました。
5月中旬には、しっかり選定されていました。葉の赤みも幾分色あせてきました。この植栽は、レッドロビンという植物が用いられているそうです。気にして眺めると、住宅地の垣根でもよく見られます。
また、中庭の藤棚脇にあるコデマリ草が、きれいな白い花を咲かせていました。柳の枝のようにたわんだ枝にきれいな花が見事に並んでいます。枝振りの調整は、藤棚やレッドロビン同様に、庁務員の方による行き届いた手入れのおかげだと思います。心のこもった手入れ、本当に頭が下がります。
遠くから見ると、このかたまりが1輪の花のように見えますが、近くで観察すると、小さな花が密集して握りこぶしほどのかたまりを形成しています。ちいさな鞠の球「小手毬」から命名されており、別名は「すずかけ」だそうです。
コデマリ(スズカケ)の花言葉は「優雅」、「上品」、「友情」があるようです。村高生の皆さんは、是非この可憐な花を眺めてくださいね。小さな花が寄り添うようにしてそれぞれが精一杯花びらを広げている姿が大変印象的ですよ。
【校長のつぶやき】満開の藤棚(2024.5.2)
中庭の斜面に造られている藤棚では、きれいな藍色の花が見頃となりました。
晴れている日に撮影しようとしたら、藤棚の周囲にクマバチが何匹も飛び交っていました。そのため、ゴールデンウィーク中の曇り空の日に、再度撮影に挑戦しました。撮影日にはクマバチの姿はなく、羽音を怖がることもなく藤棚の下に入ることができました。
千葉市科学館のウェブサイトによると、藤の花は、クマバチのように力がなければ蜜を吸うことができない固いフタに閉ざされているそうです。クマバチにとっては藤の花は他のライバルに蜜を取られる心配がなく、藤にとってはクマバチだけが自分の花粉を運んでくれる昆虫なのだそうです。こうした生物の関係を「相利共生(お互いが利益を得られる関係)」といいます。
藤の花言葉には「優しさ」、「歓迎」、「決して忘れない」、「忠実」があります。
村高生は、校舎の窓や実習棟の渡り廊下からも、藤棚を眺めることができます。
【校長のつぶやき】桜を愛でる(2024.4.25)
村田高校の敷地には、桜の木が何本も植えられています。今春も校地内では、至る所でお花見を楽しむことができました。生徒達はクラスや年次ごとに、美しい桜を背景に記念写真を撮っていたようです。
私も校内を散策しながら、村高の桜の写真を撮りました。体育館脇の吹き抜けからの桜、とてもきれいでしたので投稿します。
開放的なガラス窓から、陽光と桜の花びらが降り注いでくるような一コマでした。
教室棟の校舎前から校庭を眺めた光景です。満開の桜の咲く風景を満喫することができました。
(写真はいずれも4月15日に撮影しました。)
今後も村高の美しい景観を、随時紹介していきます!
【校長室より】新年度がスタートしました!(2024.4.19)
村田高校の令和6年度が、いよいよスタートしました。年度始めは学校生活に慣れないことも多いでしょうし、気温の寒暖差も大きいこともありますので、どうぞ皆さん、体調を崩さないようご留意ください。
入学式の式辞を紹介します。「自分と他者とが互いに理解し合う努力を続け、共に生きていこうと挑戦を続けること。」は、校訓の「協和」にもつながるものと考えています。村高が皆さんにとって、あたたかく、過ごしやすい場所になることを心から願っています。
令和六年度 入学式 式辞
村田の地を吹き抜ける風にも柔らかさを感じる時節となりました。そよ風は里山の桜の木々に美しい花を届け、残雪をまとう蔵王連峰の稜線へとゆるやかに季節を運び上げています。
本日この春の良き日に、村田町 町長 大沼 克巳 様をはじめとする多数のご来賓、保護者・御家族の皆様に御臨席を賜り、令和六年度入学式を挙行できますことに心より御礼申し上げます。
ただいま入学を許可いたしました六十四名の新入生の皆さん、創立100年を祝う節目の年に、歴史ある本校への入学おめでとうございます。皆さんは、今日から新たな学校生活の一歩を踏み出しました。門出を心からお祝いします。
さて、皆さんは、今日から始まる高校生活で、新しい友人、先輩、そして本校教職員とのかけがえのない出会いや、授業や学校行事、部活動等を通して新しい体験を重ねていくことになります。
多感な青春時代のそうした出会いや体験は、やがて皆さんの長い人生に、深く大きな影響を与えていくことでしょう。かけがえのない3年間を送るためにも、義務教育を終え、高校生活を始める皆さんには、新たな気持ちで自分なりの目標を掲げ、そこに向かって挑戦して欲しいと願っています。
新たな挑戦の歩みを始める新入生の皆さんにエールを送るべく、2007年の東京大学入学式の式辞をなぞらえ、「一番大切な挑戦」についてお話しします。
日本の最高学府で新入生に届けられたメッセージでは「困難に直面してもあきらめず挑戦し続けること」の大切さが説かれ、更には、最も重要な挑戦は、「自分と他者とが互いに理解し合う努力を続け、共に生きていこうとすること。」であると結ばれました。
式辞を述べられたのは、東京大学の当時准教授(現在は教授)の全盲ろう者、福島智先生です。福島さんは、病気により小学三年生の時に視力を失い、高校二年生の時に耳も聞こえなくなりました。目が見えず、耳も聞こえなくなった当時、福島さんは真っ暗な宇宙空間に連れて行かれたような感覚に襲われたそうです。
新入生の皆さん、福島さんの気持ちを想像してみましょう。皆さん、そっと目を閉じてみてください。(間を空けて)では、10秒後に声をかけますので、それまで両手で耳をふさいでみてください。(10秒後)ありがとうございます。目を開けて、話を聞いてください。
福島さんの気持ちが想像できたでしょうか。何も見えず、何も聞こえない、いつまでも続く静かな夜の世界。それは言葉で表現できないような孤独と絶望の世界に身を置いた状況です。こうした生い立ちに屈することなく、福島さんは、「指点字」という会話方法を用いて、コミュニケーションを図りながら研究を続けることで、障害者が暮らしやすい社会づくりへの挑戦を続けています。
私は、障害者、健常者の区別なく、人間同士が互いを理解することは、大変難しい事だと思っています。そして、人種や宗教、国境を越えて互いを理解しようとする営みこそが人類最大の挑戦であると考えます。ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエルとパレスチナ自治区の領土問題をはじめ、世界各地で紛争や軍事衝突が絶えない世界情勢を見たとき、利害を超えて、まずは双方がお互いの状況や主張について理解を図るべく挑戦を続けていくことこそが、地球の存続に必要不可欠であると考えます。この一見壮大な構想の礎となるのは、今を生きる私たち一人一人が、ますは手の届くところから互いを理解し、共生していくことなのだろうと思います。
その手始めとして、皆さんは今、福島さんの気持ちを理解しようと想像の力を働かせました。他者の気持ちに寄り添い、相手を理解しようと努力した皆さんの行為が、まさに「最も重要な挑戦」なのです。高校生になったことを機に、是非「相手の気持ちを思いやる挑戦」を、家族、同級生、先輩、先生方など、自分を取り巻く多くの人たちに対して、続けて欲しいと願っています。
保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。大切なお子様の成長を促すべく、学校は教職員一同、保護者の皆様との連絡・協力体制のもとで、教育活動に臨んで参ります。ご家庭と学校がそれぞれの役割を認識し、共に足並みをそろえて協力・連携していくことが何より大切であると考えておりますので、どうぞ本校の教育活動に対する、御理解・御協力のほど、よろしくお願いいたします。
結びに 本日 ご多用の中 ご臨席を賜りましたご来賓の皆様 誠にありがとうございました。今後とも入学生をはじめ村田高校に対するお力添えのほどよろしくお願い申し上げます。そして 入学生が、新たなる挑戦と大いなる活躍に向けての歩みを始めることを期待して式辞といたします。
令和6年4月8日
宮城県村田高等学校長 安斎 善和